AMLSについて

これまでの救急救命士業界でのOff The Job Trainingといえば、外傷や集団災害が主流でした。しかし、総務省消防庁の統計を見ても分かるように、救急車要請のほとんどは「疾病」です。

しかし、これまで、「疾病・内因性」をターゲットにしたコースや研修はあまり多くはありませんでした。

ということで、今回は、AMLSコースをご紹介いたします。

外部サイト:看護師さん向けの臨床推論コース

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これまでの問題点

問題ということでもないのですが、これまでも「疾病」をターゲットにしたMade In Japanのコースはあるにはありました。

コース名は伏せますが、「脳卒中」をターゲットにしたコースや、「意識障害」をターゲットにしたコースなど、数は多くはないものの、あるにはありました。

しかし、それらのコース内容を活かすのは、ある程度の情報や所見が絞れてからの話。

救急という現場で、最初から「脳卒中だ!」と分かるケースはそんなに多くはないはずです。

現在はだいぶ変わってきているようですが、救急救命士養成校(民間等)における教育方法も改革の余地がありそうな気はします。

当然のことながら、国家資格をパスしなければ救急救命士ライセンスは取得できません。

そのため、例えば、「心筋梗塞」が冒頭にあって、そこから「主訴」や「所見」を学ぶ方法が主流でした。

しかし、救急現場では、全く「」の作業が必要です。

つまり、「主訴」があって、そして臨床推論を駆使して「病態」を疑って活動する。

こういう思考力が救急救命士には必要なはずなのです。

AMLS

AMLSとは、「Advanced Medical Life Support」の略で、NAEMT(全米救命士協会)が展開しているコースで、日本では、日本医療教授システム学会がコースを開催しています。

このコースの概要を簡単に言うと、「内因性疾患患者に対し、評価手順に沿ってアセスメントを行うことで、緊急度や病態を判断し、適切な処置を行いつつ、適切な医療機関へ搬送すること」を目的としています。

つまり、「内因性疾患全般」であり、「ある特定の疾患や病態」ではないのです。

そのため、脳卒中、循環器疾患、呼吸器疾患、ショック、消化器疾患、内分泌疾患、そして環境障害まで幅広く学ぶことができるのです。

コースの内容

AMLSコースでは、「パスウェイ」を用いて患者の評価を進めていきます。

パスウェイとは、つまりアルゴリズムやフローチャートのことです。

そのパスウェイに沿って、問診や観察を進めながら、患者さんの病態把握や安定化の処置を行なっていきます。

アルゴリズムを作るのが難しいとされた内因性疾患に対して、よくまとまったパスウェイです。

さすがアメリカ人はこういうものを作成するのが上手だなぁと感心しました。笑

想定付与では、「30歳 男性 呼吸苦」

まさにこれだけ。

リアルじゃないですか!?

そして、なるべく多くの鑑別疾患を挙げるようにアドバイスがあります。(以前の記事で書いたリストアップと同じ意味です)

つまり、多くのことをイメージしておかないと、切り札がなくなってしまった時が大変です。

患者さん役に接すると、唇が腫れている!吸気時の喘鳴がある!!

これ、言葉で提示されるんじゃないですよ。

患者さん役が演じているのです。

そして、パスウェイに沿ってアセスメントを進めていきます。

アセスメントを進めていくと、最初のリストアップで挙がった疾患が否定されたり、濃厚になったり、もしくは新たに可能性がある疾患がリストアップされたりと、まさに現場一色!

これまで救急救命士業界ではあまり馴染みのなかった「臨床推論」を学ぶことができるのです!

Paramedicの先進国であるアメリカ。

こんな勉強をみっちりこなしているわけですから、レベルが高いのも納得。

そして、病態からスタートするのではなく、主訴からスタートする。

まさに即戦力となるParamedicを育成するアメリカならではのコース内容です。


使用するテキスト

English!!!

英語!!

英語!!

そう、英語です。

残念ながら、AMLSは正式な日本語版は出版されていません。

しかし、コース受講には英語版テキスト購入が必要です。

「正式な」と言ったのには訳があります。

実は、「AMLS日本語版」と題した書籍が販売されています。

ただし、これは実際に日本でAMLSに携わっている方や日本医療教授システム学会は関与していないようです。

また、この日本語版は、最新の英語版テキストの一つ前のバージョンを訳しているそうです。

買うか買わないかはそれぞれの判断と思いますが、持っていても損はないと思います。

ただ、救急救命士標準テキストを「すべて」網羅されているなら必要はないかもしれません。

わざわざ「すべて」と書いた理由?

イメージとしては、救急救命士標準テキストの全ページがシミュレーションの範疇だからです笑

でも、実際の現場ってそうですよね。

だからこそAMLSがおすすめです。

アメリカ発コースは日本でも有用?

はい、有用です。

特に、これまで救急救命士業界では馴染みの薄かった「臨床推論」、つまり、「考え方」に関しては、非常に有用です。

患者さんをアセスメントしつつ、頭の中で病態をイメージして組み立てていく。そして、安定化の処置を行いながら、適切な医療機関へ搬送すること。

これは、救急救命士にとってまさに「現場そのもの」だと思います。

個人的に敢えて言うなら

アメリカのParamedicって、時間的制約はないような気がします。

日本では、ショックの患者さんの場合、一刻も早く搬送する必要があるため、できる限り短い時間で現場活動を終えなければなりません。

それに対し、アメリカのParamedicは、投薬を含む様々な処置ができます。

つまり、そこで「安定化」ができるのです。

AMLSの考え方やパスウェイを使いつつ、日本流にアレンジしていくことで、より良い活動ができるのではないかと思います。

そういえば、Made In Japanの内因性疾患全般を対象にしたコースが開発されています。

こちらのアルゴリズムも個人的にお気に入りです。

それについてはまた今度。

Take Home Message

・AMLSは非常に有用!おすすめ!
・救命士業界でも臨床推論が主流になる!

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan