アナフィラキシーショックを理解する!

前回は血液分布異常性ショックについての基本編を書きました。

今回はその続きです。

前回の記事をご覧になっていない方はこちらからどうぞ!

血液分布異常性ショックを理解する!基本編
ショックの分類でも大事な血液分布異常性ショック。真っ先に思い浮かぶのはアナフィラキシーショックですよね。その前に、血液分布異常性ショックに関して基本的なことをおさらいです!血液分布異常性ショックでは脈拍がしっかり触れることがあるって知ってましたか?
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【大事】アナフィラキシーの定義!

アナフィラキシー?

蕁麻疹が出るけれど処置して帰宅する軽症のやつ?

なんて思っていませんか?!

まずは定義の確認。コレ大事です。

アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」をいう。

出典元:アナフィラキシーガイドライン|一般社団法人日本アレルギー学会

です。

重症度の「軽症」は結果論であって、救急現場でアナフィラキシーと判断すれば緊急度は高いですよね。

そしてアナフィラキシーにショック症状があれば、アナフィラキシーショックとなるのです。

アナフィラキシーショック!
なぜ怖い!?

アナフィラキシーショックで一番怖いのは?

ズバリ

循環不全気道閉塞

です。

つまり、ショックか窒息が原因で手遅れになるということですね。

こちらの図を見てください。

体内にアレルゲン物質(抗原)が侵入すると、免疫系細胞(肥満細胞)が活性化します。

それによって、生理活性物質(ヒスタミン等)が放出される事で抗原抗体反応が起こります。

でも体にとっては良いことばかりではありません。

血管を拡張することでヒスタミン等が迅速に出動できるようになりますが、血圧は下がります。

さらに、血管透過性亢進に伴って浮腫が起こります。

もっとも怖いのは上気道。

喉頭浮腫が起これば窒息します。

異物による上気道の窒息であれば喉頭鏡とマギール鉗子で異物除去が可能かもしれませんが、喉頭浮腫による上気道閉塞では太刀打ちできません。

気道の平滑筋も収縮するため気管支喘息のような音(Wheeze)も聴取できるかもしれません。

このような機序で、患者さんは咳をしているかもしれません。

喉の違和感を訴えるかもしれません。

でも、コレ。

救急救命士なら知ってますよね。

消化器症状を忘れないで!

コレぜひ覚えてください。

蕁麻疹などの皮膚症状や、喘鳴、喉頭浮腫などの呼吸器症状は有名ですが、消化器症状も忘れてはいけません。嘔気、下痢、腹痛はアナフィラキシーの25〜30%に認める。

出典元:救急外来ただいま診断中!|坂本壮

全身に蕁麻疹があるけれど、呼吸器症状もショック所見もない。

「ただのアレルギーかなぁ」

なんて安心してはNOです。

全身に蕁麻疹があって腹痛や嘔吐を伴っている場合もアナフィラキシーです。

コレに加えて、ショック所見があればそれはもう、アナフィラキシーショックです。

消化器症状のことは忘れがちですが「重要」です。


ABCディ〜?ABCD?!

救急分野では馴染み深いABCD。

今回もABCDで覚えましょう!

アナフィラキシーのABCDです!

全身に蕁麻疹がある患者さんに対して、ABCは確認していると思います。

ABCに該当する症状がなくても次はDの確認を行います!

ABCに該当しなくてもDの症状があれば、それはアナフィラキシーを念頭に活動しなければなりません。

そして、次の一手はアドレナリンの出番です。

アドレナリン!エピペンも!

アナフィラキシーショックの第1選択薬はもちろん「アドレナリン」です。

救急救命士はエピペンを使用できますが、それはあくまでも患者さん本人が所有しているときだけ。さらには、色々な制約や条件があるため詳細は各地域のルールに従ってください。

エピペンは救急救命士であれば使用する機会が当然あり得ます。

「アナフィラキシーショックにはアドレナリン!」

って覚えるのもいいですが、ここはしっかりとアドレナリンの薬理作用を知っておくべきです。

アドレナリンにα作用やβ作用があることは知っていると思います。

踏み込んでもう一つ!

アナフィラキシーショックでアドレナリンが絶対必要な理由の1つに、肥満細胞等から生理活性物質が出てくるのを抑える作用が重要だからなのです。

コレは、ぜひ知っておいてください。

アナフィラキシーショックにはアドレナリン!

だからエピペン所持の確認と地域のルール確認は大事です。

架空症例を振り返る!

ショックその3の症例を振り返ってみましょう。

症例はこちらをご覧ください。

血液分布異常性ショックを理解する!基本編
ショックの分類でも大事な血液分布異常性ショック。真っ先に思い浮かぶのはアナフィラキシーショックですよね。その前に、血液分布異常性ショックに関して基本的なことをおさらいです!血液分布異常性ショックでは脈拍がしっかり触れることがあるって知ってましたか?

呼吸器症状はないですが、腹痛も吐き気もあるようです。

これはアナフィラキシーのABCDと合致します。

そして、血圧に注目してみましょう。

80/30mmHgです。

収縮期血圧も拡張期血圧も低下しており、脈圧の狭小化はありません。

血液分布異常性ショックに特徴的な血圧値です。

なるほど、脈圧が狭小化していないことで橈骨動脈がしっかり触れたのか。

そう理解できます。

そして、搬送中は座った状態で搬送したことが原因で脳血流が減少し意識レベルが低下してしまいました。

酸素投与も未実施でした。

この患者さんはアナフィラキシーショックですので、高濃度酸素投与と合わせて仰臥位で搬送する必要がありました。

Take Home Message

・バイタルサインを正確に理解する!
・アナフィラキシーの定義を知っておく
・アナフィラキシーのABCDを常に確認!
・アドレナリンの薬理作用をしっかり復習!

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan