アナフィラキシーショックとST上昇?!

前回は、血液分布異常性ショックの中からアナフィラキシーショックをピックアップしました。

前回の記事はこちら

アナフィラキシーショックを理解する!
ショックその3の続編です!前回の記事では血液分布異常性ショックの基本をアップしました。アナフィラキシーショックは救急救命士にとって非常に重要です。前回の架空症例を考えながら読み進めてください!アナフィラキシーマスターになれるかもしれませんよ!

今回は、アナフィラキシーショックに関する番外編をお送りします。

頻度は多くないかもしれませんが、知っておいて損はありません!

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今回の架空症例

60歳男性 主訴は呼吸苦と胸痛
救急現場は一般的な一軒家のようだ。
CALL ASSESSMENTによって「心筋梗塞」を第一に考えた。
救急隊が到着した際、患者さんはソファーに座っていた。
一見して、吸気時に喘鳴があり肩で呼吸をしている。
明らかに緊急度が高そうだ。

隊員にバイタルサインの測定と酸素投与を下命し初期評価を実施した。
気道は開通しているが吸気時に喘鳴がある。
橈骨動脈は弱く触れることができ皮膚は暖かい。
そして、全身に蕁麻疹がある・・・

意識レベルは1−3。かなり苦しそうだ
生理学的評価では緊急性は高いと判断した。
心筋梗塞を第一に考えていたが、所見からはアナフィラキシーショックが疑われる。
家族からは、抗生物質を服用した後に症状が出たと話を聞けた。

やはりアナフィラキシーショックか・・・
呼吸数30回
SPO2はルームで90%(酸素10ℓで94%)
脈拍数は100回
血圧は78/40mmHg
体温は36度9分

胸痛が気になった救命士は、心電図モニターを装着した。
すると、Ⅱ誘導とⅢ誘導でST上昇が確認できた。彼の頭の中は「???」で一杯になった。
ただし、緊急性が高いことには変わりはない。
救命救急センターへの連絡を開始したのだった・・・

アナフィラキシーショックと
急性冠症候群

こんな症例を実際に目の当たりにしたら焦りますよね。

実はアナフィラキシーショックと急性冠症候群が同時発症することがあります。

このことをKounis症候群といいます。

肥満細胞から放出されるヒスタミンには冠動脈攣縮作用があります。

また、肥満細胞から放出される他のケミカルメディエーターによって、既に冠動脈内にあったプラークが破壊されるためACSを引き起こすのです。

ケミカルメディエーターが少量であればこれらを引き起こす可能性は低いのですが、アレルギー反応が重症であればあるほど、Kounis症候群を発症する可能性が高くなります。



Kounis症候群の分類

Kounis症候群はこのように3つのタイプに分類されます。

救急救命士が救急現場でタイプを同定する必要はないですが、心筋梗塞の既往や動脈硬化の指摘の有無を聴取することは可能です。

また、心筋梗塞でステントを留置したことがある患者さんが、アナフィラキシーショックを発症している場合、本症例を念頭に12誘導心電図を装着することは重要です。

何れにしても、今では12誘導心電図を装着することはもはや当たり前です

アレルゲンは何?!

Kounis症候群を発症しやすいアレルゲンは何か?!

それは・・・

アナフィラキシーを起こし得る全て!

です。

つまり、どんなアレルゲンであれ、アレルギーを引き起こすものは全てが原因となり得ます。

ハチ、卵、薬、そば、その他何でも。

Take Home Message

本症例では、酸素投与や体位管理は当然のことです。

それは基本的で当然のこと。

本症例に対して救急救命士ができることは何か?

それは事前に本症例のことを知っていることと問診です。

知っていれば助かるかもしれない。

知識があれば助かるかもしれない。

知識と訓練を事前に備えることこそ救急救命士の責務ですね。

次回は閉塞性(古いかw)ショックに関する記事をアップするのでお楽しみに!

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan

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