心電図波形の成り立ちについての知識は救命士に必要なのか?

Q二郎です。

多くの地域で豪雨による被害が出ています。

被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。

また、災害活動中の皆様、どうぞご安全に活動されますようお願い申し上げます。

さて、心電図波形の仕組みについて興味を示す救命士さんって多いですよね。

各地域では定期的に心電図に関する勉強会が開催されていますし受講される救命士さんが多いようです。

先日もある救命士さんが

「ここのQ波はなぜ深いのですか?この二段になっているQRS波は何ですか?」

と質問されていたのを見かけました。

心電図は大切です。

ただQ二郎としては少し思うところもありますので皆さんと考えていきたいと思います。

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心電図波形はこれだ!その次は?

刺激伝導系や自動能についての知識は必要です。

これを知っておかないと理解を深めることができませんので、ここだけは強調しておきます。

さて本題です。

例えば心電図のQRS波が二段の山のようになっていた場合、皆さんなら何を考えますか?

そしてその考えた事を救急現場の活動にどう活かせますか?

これこそが今回のテーマなのです。

救命士さんは波形についての知識を深めたいと思っている方が多い印象ですが、大事なことは波形の仕組みではありません。

救急救命士さんのフィールドでは、プリントアウトされた心電図波形だけを見て判断することはありませんよね。

大事なことは

この症状があってこういう心電図波形だからこの疾患が疑われる

これが非常に大事です。

例えば患者さんの主訴や背景が分からない段階でこの心電図波形を見たとしましょう。

果たしてこれだけで病態がイメージできますか?

具体的に考えてみましょう

例えばこのような症例ではどうでしょうか。

80歳の女性。

既往に腎不全があり透析を受けている方が倦怠感とふらつきのため救急要請されました。

救急救命士は高カリウム血症や急性冠症候群を疑ったため、心電図を装着したところこのような波形を認めました。

患者さんの主訴と背景、そしてP波が消失している心電図波形を見ることで高カリウム血症が疑われます。

このように、救急救命士の方に求められることは、心電図波形の仕組みではなく、疑った疾患の裏付けのために心電図を判読することです。

パターン化しておくことが重要

救急救命士さんの現場で知っておくべき心電図波形は限られています。

例えば、「このような主訴の場合にはこの波形が見たい」のようにパターン化しておくことも重要です。

透析患者さんであればカリウムが重要なのでP波とT波を見たい

動悸であればこれ。

徐脈やあればこれ。

若年者の意識消失ならこれ。

薬物過量摂取ならこれ。

例を挙げると多いのですが、こんな感じでパターン化しておくと覚えるべき波形が限られてきますよね。

救急現場で「Qが深くて・・・んん?!」と悩んだところで搬送すべき医療機関の選定にはあまり影響がないでしょう。

それよりも、主訴や背景に応じて見るべき波形を見落とさないことの方が重要です。

心電図使用の判断も重要

稀にですが、心電図モニターすら装着せずに医療機関へ搬送する救急救命士さんを見かけます。

足を段差にぶつけて爪が割れた

転んで膝を擦りむいた

このような場合は不要かもしれませんが、それでも意識消失して転倒した可能性だってゼロではないですよね。

あまり気にしている方を見たことがないのですが、心電図をどのような患者さんに装着するかどうかの判断も非常に重要なことです。

もっと言えば、現在の救急車に装備されている大半は標準12誘導心電図です。

例えば、胸痛だけしか12誘導心電図を装着しないのであればそれも危険を伴う可能性もあります。

モニター心電図では限られた誘導しか見ることができません。

このように「いつ・どんな場合に」を考えておくことも救急救命士さんには重要なことです。

Take Home Message

心電図の勉強は重要ですし波形の仕組みや成り立ちを勉強したいと思っている熱心な救命士さんを応援します。

しかし、まず重要なことは、主訴や背景からある程度の疾患を疑い、そしてその裏付けのための道具として心電図を活用すること。

このような考え方で心電図を深く勉強してくださる救命士さんが増えることを願っています。

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan