本当に過換気症候群でいいですか?

救急救命士が遭遇する頻度が多い疾患の1つに過換気症候群があります。

経験を重ねていくと「あぁ過換気かな」と判断することができますし、結果的にほとんどが正解です。

でも救急現場はいつも例外と隣り合わせです。

むしろ例外を常にイメージしながら活動することが大事です。

ということで今回は過換気症候群についてお届けします!

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本日の架空症例

20歳女性 過換気症候群疑いとの内容で出動した。
救急現場はアパートのようだ。
CALL ASSESSMENTによって過換気症候群を考えた。
むしろそれしか脳裏になかった。

彼氏と思われる男性の案内を受け部屋に入ると患者さんはベッドに横になっていた。
パッと見た感じでは顔面蒼白。
気道は開通しており呼吸はとても早い。
橈骨動脈の触知は少し弱いが触れる。回数は早くも遅くもない。
そして指先の痺れを訴えていた。
隊員に対し彼氏から話を聞くよう隊員に下命し過換気症候群に対する観察を始めた。
よくありがちな状況ですよね。
この救急救命士は過換気症候群と決めつけて活動していますが、何か怖くないですか?

過換気症候群とは!?

まずは何事も定義を確認することが重要です。

過換気症候群の病態定義を見てみましょう。

過換気症候群は、器質的疾患がなく発作性かつ不随意的に換気量、換気回数が増加した状態をいい、PaCO2が低下して呼吸性アルカローシスになる。

出典元:第9版救急救命士標準テキスト

このように記載されています。

器質的疾患がなく〜

この部分が非常に重要です。

器質的疾患が先行したことで過換気になっていないかを見い出すことこそ、救急救命士の腕にかかっています。

まずはキッカケを知ることから

救急現場でその疾患の原因を確定することは困難ですし必要性もありません。

しかし、キッカケを知ることは非常に重要です。

これは救急救命士が行う臨床推論においても必要不可欠な情報です。

今回の症例では過換気症候群しか考えずに活動していましたが、患者さんにこのようなエピソードがあったらどうでしょう?

強い腹痛があった

経口避妊薬を服用しており胸痛を先に自覚した

患者さんをパッと見た感じでは過換気症候群を疑うかもしれませんが、背景にこのようなエピソードがあれば純粋な過換気症候群じゃないですよね。

例を挙げるとキリがありませんが救急現場で考えるべきリストをまとめました。

妊娠可能女性を見たら異所性妊娠を疑いますよね。

「お腹が痛くありませんでしたか?」

これを問診することは重要です。

気管支喘息の既往があるかもしれませんし、アナフィラキシーショックかもしれません。

大事なことは、患者さんに会うまでは緊急度が高い疾患を第一に考えることです。

救急現場に行くまでの考え方と初期評価
救急現場に行くまでの重要な考え方とはどのようなものでしょうか。これまでの教育では、ほとんど学ぶ機会が少なかったことですが、とても重要なことです。もっと言うと、この時点で活動の7割は決まります。
救急現場に到着するまでに考えること
救急現場に向かうまでに頭の中で行うべき作業があります。非常に重要にもかかわらずトレーニングを受ける機会はほぼありません。その内容とは。



リスクを回避する

今回の架空症例では、出動の段階から様々なリスクが存在していました。

認知エラーという言葉をご存知でしょうか。

これは、思考力に起因するエラーのことです。

認知エラーの原因の中に、基礎的な知識不足がありますが、これに関しては自己研鑽や積極的な情報収集が改善ポイントになります。

今回の架空症例では3つの認知エラーが重なっています。

まず一つ目に、トリアージバイアスです。

救急現場に置き換えれば出動指令のことです。

今回の症例における出動指令を比較してみましょう。

20歳女性が呼吸困難を訴えている
20歳女性が過換気症候群のようだ

同じ患者さんのことですが、全然イメージが違いますよね。

呼吸困難と聞けば様々なことがイメージできますが、過換気症候群と聞いてしまえば思考回路がそこで停止してしまいます。

トリアージバイアスを防ぐためにも、疾患名ではなく症状や状態で伝えることが重要です。

次にラベリングです。

思い込んでしまうと他のことが考えられなくなるのが人間です。

だからこそ様々な状況や疾患を頭に描きながら救急現場に向かうことが重要です。

そしてアンカーリング

決めつけてしまうと他のことが見えなくなってしまいます。

アルコールを多飲した後の意識障害?アル中でしょ!

でも実際は脳出血だった。なんて可能性はゼロじゃありませんよね。

人間が起こし得る認知エラーを知っておくことはリスク回避のためにとても大事なのです。


過換気なのに呼吸停止!

過換気の後に呼吸が停止することがあります。

Post-Hyperventilation-Apnea(過換気後無呼吸)

これは血中の二酸化炭素が減少することが原因です。

「また過換気症候群?!」

ではなく、しっかりとモニタリングと継続的な観察を行うことが大切です。

Take Home Message

いかがだったでしょうか。

過換気症候群はよくある疾患ですがしっかりとアセスメントすることが重要です。

・いつもの疾患の裏に怖い疾患あり
・常にキッカケを意識する
・認知エラーを回避する

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