ショックを理解する!循環血液量減少性ショック

前回からシリーズでお届けしている「救急救命士必見!ショック」です。

今回も前回の架空症例を基にショックを学んで行きましょう。

前回の記事はこちら↓

救急救命士必見!ショックへの対応編1
処置拡大によってショックにおける救急救命士の存在はさらに重要になってきました。検査がほとんどできない救急現場においてショックの原因を見極め活動するために必要な知識を共有すべくシリーズでお届けします!

スポンサーリンク

ショックの分類を理解すること!

ショックの分類って覚えていますか?

○性ショック

ってアレです。

実は、この分類を理解して見定めることが非常に重要です!

今回は救急救命士の活動セミナーオリジナルの分類表を特別にアップします!

血液分布異常性ショックも進行すれば冷たく(コールドショック)なることもあるそうですが、今回は、救急救命士が現場でパッと分類できるように作成しました。

また、全てが「想定の範囲内」でいかないことも多々ありますので、あくまでも簡便版としてお使いください。

前回の架空症例の続きです。

70歳男性 主訴は気分不良、ふらつき
生理学的評価で、橈骨動脈の触知は弱く冷感がありショック徴候を認めている。
救急救命士は、この時点で、血液分布異常性ショックの可能性は低いと判断。
続いて、患者さんの首もとに注目した。
頸静脈の怒張はないようだ。
また、胸痛等の訴えもない。
救急救命士は、まずは循環血液量減少性ショックに着目して問診と観察を行うことを決めた。
ショックの分類をある程度絞ることができれば、次は原因をある程度まで絞り込む作業が必要になります。
でも、この作業が結構難しいですよね。

救急救命士必見!
循環血液量減少性ショックはこれ!

ショックの分類や原因は、文献によっても違います。

また、救急現場でショックの原因を突き詰めるのはかなり難しいです。

しかし、心停止前の輸液を実施するためには、可能な限り原因を検索して医師へ伝えて特定行為の指示を得ることが重要です。

でも、循環血液量減少性ショックになり得る疾患があり過ぎて覚えるのは難しいですよね。

そこで、まとめてみました。

頑張ってまとめてみました。

救急救命士必見!

救急現場での循環血液量減少性ショックはこれです!

ちなみに外傷によるものは除いています。

内因性の場合です。

これだけじゃないよ!と思われる方もいるかもしれませんが、救急救命士が救急現場で問診と観察を駆使して疑うことができる可能性があるのはこれらの疾患でしょう。

そして、これらは非常に重要であり遭遇する可能性が高いものばかりです。

最終的には病院で医師によって診断されると思います。

そもそも確定診断は医師の範疇です。

しかし。しかしです。

救急救命士は、可能性のあるショックの病態、観察所見や状況等を医師に報告し具体的な指示を受ける必要があります。

そのためには、これらの知識は必要不可欠なのです!



何を考えどこを観察する?

例えばこんな症例。

・60歳の男性が腹痛を訴えている
・生理学的評価ではショック徴候を認めた
・冷感はあるが頸静脈怒張はない
・ふと見ると、眼球結膜に黄疸を認める
・肝臓疾患を含む既往歴はない(むしろ通院したことがない)
・聞くと四六時中お酒が好きみたい

先ほどの分類では、循環血液量減少性ショックの可能性が高いですね。

こうなると、原因として考えやすいのは何でしょうか?

知らず知らずのうちに、肝臓癌があるのかもしれません。

そう考えれば、腹壁静脈の怒張を観察したり・・・

大事なことは、何を考えてどこをどのように観察したか

です。

例えば、「この所見がないからAという疾患は否定的」

こんな考えはダメですよね。

最終的には医師にしか診断できないわけですから。

そしてピットフォールと言われる例外だってたくさんあります。

でも、「疾患を想起して診るべき所見を診た

これがものすごーく大事です。

症例の続き

最初の架空症例に戻りましょう。

救急救命士は、患者さんの眼瞼結膜を観察したところ、蒼白であった。
そして、循環血液量減少性ショックの原因を可能な限り検索しようと問診を行なった。
患者さんは、吐血のエピソードは否定した。
しかし、救急救命士は問診を続けた。
最近、便が黒いとか、お腹がキリキリ痛むことはないですか?
すると、患者さんは驚いたような顔で
「そうなんです。ここ数日前から便が真っ黒で、胃が痛いんです」
「今まで胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患ったことはないですか?」
「もう昔ですが、若い頃に胃潰瘍を・・・」
救急救命士は、この時点で消化管出血による循環血液量減少性ショックを最も疑った。
既に隊員によって高濃度酸素投与は行われているため搬送準備を開始した。
同時に、消化管出血によるショックに対応できる病院を選定し連絡を行った。
医師に状況や観察結果を伝えたところ、心停止前の輸液をプロトコールに則り実施するよう指示を受けた。
 ショックの分類見極め法と、循環血液量減少性ショックの原因疾患を知っていたことで、的確な問診と観察を行い「消化管出血によるショック」の可能性を見出せることができた症例です。
これが、明らかな「吐血」や「下血」があったら?
誰も判断に迷うことはないですよね。

そうはいかないのが救急現場。

消化管出血で最も多い主訴は吐血・下血であるが、次に多いのが失神・失神性めまいである。吐血・下血があれば消化管出血の診断は難しくない。
しかし、吐血・下血の症状がない場合、この鑑別疾患を知っておかないと誤診する危険がある。

出典元:ERで役立つ救急症候学〜病態のメカニズムと初期治療〜
著 者:河野寛幸

今回は、ふらつき感と気分不良が主訴でしたが上記の知識があれば消化管出血を疑うことができるかもしれません。

もちろん決め付けはNGです。

様々なことを考え、観察して、医師に報告する。

これが重要です。

でも、少しだけショックへの対応に自信がついてきませんか?

Take Home Message

・ショックに対する救急救命士の役割は大きい!
・分類と原因を可能な限り検索!
・情報を医師へ報告、そして指示を受ける!
いかがだったでしょうか。
ショックのうち、循環血液量減少性ショックはこれで終わります。
引き続き、ショックシリーズをお楽しみに!

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan