血液分布異常性ショックを理解する!基本編

シリーズでお届けしているショックシリーズです。

ショックを理解するために必要な基本的なことはシリーズ1をご覧ください!

救急救命士必見!ショックへの対応編1
処置拡大によってショックにおける救急救命士の存在はさらに重要になってきました。検査がほとんどできない救急現場においてショックの原因を見極め活動するために必要な知識を共有すべくシリーズでお届けします!

ショックの分類と循環血液量減少性ショックについてはこちら!

ショックを理解する!循環血液量減少性ショック
循環血液量減少性ショックは救急救命士が救急現場で判断する必要があります。吐血や下血があれば判断は難しくないのですが、そうはいかないのが救急現場。救急救命士必見!循環血液量減少性ショック編です!ショックが得意になるかも!

今回は、血液分布異常性ショックです!

基本編と実践編の2回に分けて記事をアップします!

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今回の架空症例

30歳男性 主訴は身体の痒みと腹痛
救急現場はオフィス街にある会社のようだ。
CALL ASSESSMENTによって「アナフィラキシー」を考えた。
救急隊が到着した際、患者さんはソファーで横になっていた。
一見して、全身に蕁麻疹があり第一印象はやはりアナフィラキシーだった。
隊員にバイタルサインの測定を下命し初期評価を実施した。
気道は開通し狭窄音や喘鳴は聴取できない。
橈骨動脈はしっかり触れることができ皮膚は暖かい。
意識レベルは1−1。少しぼんやりしているようだ。
生理学的評価では緊急性は低いと判断した。
想起したアナフィラキシーの検証を行うために、問診を行うことを決めた。現在の主訴は身体の痒み、腹痛、そして気分不快だ。
発症の20分前、歯医者で処方された抗生剤を服用した。その後、気分が悪くなり吐き気を自覚した。同期の中でも営業成績があまり好ましくないため、早退するわけにはいかず我慢していた。
すると、今度は全身に蕁麻疹を認め、腹部全体の痛みを自覚するようになった。
抗生剤の処方は昨日だったが、昨日は飲み会があったため、服用するのは20分前が初めてだった。
処方されているのならしっかり服用しなきゃ・・・と思いながら観察していたところ、隊員からバイタルサインの数値が報告された。呼吸数28回
SPO2はルームで96%
脈拍数は110回
血圧は80/30mmHg
体温は36度9分血圧が低いことが一瞬気にはなったが、橈骨動脈はしっかり触れているからショックではないだろうと考え車内収容することにした。
隊員から酸素投与の要否を尋ねられたが、とりあえず酸素は不要と指示した。病院搬送中は座位で搬送していたが、どんどん患者さんの意識レベルが低下してしまった。
吸気時喘鳴や呼気時喘鳴、SPO2の低下もないのになぜだ・・・手に汗を握りながら搬送するのであった。

血液分布異常性ショック

血液分布異常性ショックとは!

詳しい定義については成書を参照していただきたいのですが、簡単に言うと、血管が拡張することで末梢血管抵抗が低下し、さらには血管透過性が亢進する。ですね。

血管が拡張することで血圧が低下しますよね。

それに加えて、血管透過性が亢進することで浮腫を起こします。

そして、これらが複合することで相対的に循環血液量が低下します。

こういう事を分かっていれば、アナフィラキシーで口唇や喉頭が腫脹する原因も理解できます。

ところで、感染等が原因で起こるショックは敗血症性ショックです。

敗血症性ショックは定義が別にあります。

救急現場で感染源を特定することは不可能ですしその必要性も低いです。

しかし、きちんとアセスメントを行い、医師にそれらの情報を事前に伝えることができれば病院での治療開始時間短縮には有効かもしれません。

一応これだけシェアしますね。

また発熱か・・・

ではなく、これらの疾患は特に注意してアセスメントしておく必要があります。

詳しくはまた別記事でアップします。

その時!血圧と脈拍はどうなる!?

キーワードは「血管が拡張する」です。

循環血液量減少性ショックの時はどうだったか覚えていますか?

キューっと血管が収縮することで拡張期血圧が早期に上昇しますよね。

すると、収縮期血圧と拡張期血圧の差(これが脈圧のこと)が小さくなることで脈拍を触った時に、触れが弱く感じるんでしたよね。

では、血液分布異常性ショックではそれがどうなるのか。

「血管が拡張する」わけですから、収縮期も拡張期も血圧は下がります。

つまり、脈圧は狭まらない(大きくなることも)のです。

なので脈拍を触った感覚では「しっかり触れる」と感じるのですが、実際に血圧を測定したときに、「アレ?血圧低い!なんで?」となるのです。

この時に、脈圧のことを知っていれば、「血液分布異常性ショックだ!」と認識できるようになります。


バイタルサインは質と評価が大事!

今では様々な分野で自動化の研究がされており日々の生活はさらに便利になるのでしょうね。

しかし!しかしです。

バイタルサインは質が大事!

仮に自動血圧計が精度100%となったとしても、ダウンジャケットの上から測定してしまえば数値は信用できません。

そしてモニターに表示された数値をどう評価するか。

これが救急救命士に課せられた重要な存在意義でもあります。



いよいよ実践編!

今回は、血液分布異常性ショックに対する基本的なことを書きました。

次回は、架空症例を基にアナフィラキシーショックについてアップします!

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan

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