救急現場に行くまでの考え方と初期評価

突然ですが症例を提示します。

あなたは救急現場に向かっている途中です。

このような情報を得ることができました。

70歳男性
通報内容:左側腹部痛
既往:高血圧
ズバリ質問です。
どのような疾患を頭に浮かべますか
実は、この段階で、どれだけの疾患を脳裏に浮かべることができるかで、その後の対応が左右されます。
この段階での思考回路が、活動全体の7割を占めると言ってもいいでしょう。
もし、あなたの頭に
尿路結石
が最初に浮かんだのであれば、ぜひ最後までこの記事を読んでください。
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リストアップする

「これだけの情報だけじゃ何も分からない!」

「とりあえず、患者さん診てから考えよう」

このように考える方も多いかもしれません。

しかし、救急現場はいつもこんな感じですよね。

ホントに最低限の情報しかない。しかもその精度は極めて低いものです。

でも、そのような状況がフィールドである救急救命士としては、これらの情報から様々なことを考えられる能力を鍛える必要があります。

今、この情報のみで、何個の疾患が頭の中に浮かんでいますか?

1 尿路結石

2 転倒等に伴う整形外科領域の疾患

こんなものでしょうか?

では、続けていきましょう。

初期評価と検証作業

尿路結石と整形外科領域疾患を頭に浮かべながら患者さんと接触しました。

顔面は蒼白。明らかに冷汗があります。

誰が見ても、「やばそう」な感じです。

呼吸もやや速く、皮膚は冷感。橈骨動脈は弱く触れます。

つまり

ショック状態

尿路結石や整形外科領域の疾患のみでショックになりますか?

このような疾患しか考えずに患者さんの状態を見てしまうと全てが後手後手になります。

例えば最初から

腹部大動脈瘤切迫破裂を考えていた場合はどうでしょうか。

患者さんに会うまで腹部大動脈瘤切迫破裂を考える。

その場合、ショック状態になっている可能性も考えられる。

そして実際に患者さんを診てみるとショック状態。

やっぱり、腹部大動脈瘤切迫破裂の可能性もある。

つまり、急いで搬送しよう。

このように、初期評価とは、頭の中で考えた「リストアップ疾患」を検証するための作業なのです。

外傷の場合の初期評価はショック状態を見つけること。そしてその原因となる病態を全身観察で検索します。これは誰でもが知っていること。

しかし、内因性の場合は、この作業が非常に重要なのです。

初期評価についてはこちらの記事をどうぞ!

救急救命士による初期評価と内因性ロード&ゴー
初期評価と聞くと「外傷のABCのこと?」と想像する方が多いですね。合わせて内因性ロード&ゴーという言葉も浸透してきました。実は、外傷と内因性では初期評価の目的も方法も異なります!今回は内因性疾患に対する新たな初期評価方法を紹介します!

リストアップが全くないと「出たとこ勝負」の状態になり全てが後手に回ります。

リストアップが少ないと、そのリスト全てが否定されてしまうとお手上げです。

リストアップが多ければ多いほど、全てが極めてシームレスになるのです。

この考え方は、ものすごく重要にも関わらず、教えてもらう機会がほとんどないまま救急救命士の資格を取得した方が多いと思います。

順位付けと天秤

限られた情報に基づいて、疾患をリストアップする必要があることは上で書きました。

そして、その順番も重要なのです。

つまり

緊急度が高い疾患を優先する

これが非常に重要です。

初期評価における問診や観察の目的は、緊急度が高い疾患をルールインもしくはルールアウトすることです。

そのためには、緊急度が高い疾患を常に優先して考えましょう。

もちろん、「尿路結石」を忘れたわけではありません。

むしろ、頻度としては尿路結石が多いかもしれません。

逆に言うと、今回のような主訴で来る「腹部大動脈瘤切迫破裂」は多くはないのかもしれません。

しかし、医師ではない救急救命士が、さらには検査ができない環境下で安全に(患者さんに不利益を与えないように)活動するためには、頻度は低くても、まずは緊急度が高い疾患を優先して考えるべきです。

このような作業を、「天秤にかける」と表現される救急の先生もおられます。

Take Home Message 

いかがだったでしょうか。

今回は、現場活動の7割を左右する思考回路について書きました。

・緊急度が高い疾患からリストアップする
・初期評価はリストアップした疾患の検証作業
・頭にない疾患は疑えない

Q二郎

Paramedicをこよなく愛するQ二郎 テキストだけでは習得し難いノウハウ伝授が趣味 live in Japan